2022/10/5 読了 佐々木俊尚「「当事者」の時代 」(光文社新書)

2022/10/5 読了 「当事者」の時代 (光文社新書) 著者 : 佐々木俊尚 光文社 (2012年3月16日発売)

 

 

f.2022/10/5
p.2012/3/16

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  私は2009年夏、『2011年新聞・テレビ消滅』(文春新書)という本を上梓し、そのなかでマスメディアがなぜ立ち行かなくなっているのかをビジネス構造の観点から論じた。なぜビジネス的に描いたかと言えば、それまで出回っていたマスメディア論の多くが、「日本の新聞は言論が劣化している」「新聞記者の質が落ちている」といった情緒論ばかりだったことに辟易していたからである。そうした情緒論ではなく、純粋にビジネス構造の変化からマスメディアの衰退を論じようとしたのが同書だった。
  本書はその続編に当たる。今回はビジネス論ではなく、ただひたすらその言論の問題を取り上げた。しかし私は巷間言われているような「新聞記者の質が落ちた」「メディアが劣化した」というような論には与しない。そんな論はしょせんは「今どきの若い者は」論の延長でしかないからだ。
  そのような情緒論ではなく、今この国のメディア言論がなぜ岐路に立たされているのかを、よりロジカルに分析できないだろうか----そういう問題意識がスタート地点にあった。つまりは「劣化論」ではなく、マスメディア言論が2000年代以降の時代状況に追いつけなくなってしまっていることを、構造的に解き明かそうと考えたのである。
  本書のプランは2009年ごろから考えはじめ、そして全体の構想は2011年春ごろにほぼ定まった。しかしその年の春に東日本大震災が起き、問題意識は「なぜマスメディア言論が時代に追いつけないのか」ということから大きくシフトし、「なぜ日本人社会の言論がこのような状況になってしまっているのか」という方向へと展開した。だから本書で描かれていることはマスメディア論ではなく、マスメディアもネットメディアも、さらには共同体における世間話メディアなども含めて日本人全体がつくり出しているメディア空間についての論考である。

出版社からのコメント
いつから日本人の言論は当事者性を失い、弱者や被害者の気持ちを勝手に代弁する〈マイノリティ憑依〉に陥ってしまったのか----すべての日本人に突きつける著者渾身の書き下ろし472ページ。


内容(「BOOK」データベースより)
いつから日本人の言論は、当事者性を失い、弱者や被害者の気持ちを勝手に代弁する“マイノリティ憑依”に陥ってしまったのか…。すべての日本人に突きつける。

著者について
佐々木俊尚(ささきとしなお)
1961年生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、月刊アスキー編集部を経てフリージャーナリスト。『仕事するのにオフィスはいらない』(光文社新書)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『2011年新聞・テレビ消滅』『決闘ネット「光の道」革命』(孫正義との共著、以上、文春新書)など著書多数。総務省情報通信白書編集委員。作家・ジャーナリスト。