2023/1/9 読了 花房観音「うかれ女島」 (新潮文庫)

2023/1/9 読了 「うかれ女島」 (新潮文庫)

著者 : 花房観音 新潮社 (2020年12月23日発売)

 

f.2023/1/9
p.2021/1/6

from amazon site

「売春島」×「復讐」、衝撃のサスペンス――!

「お前の母親は淫売や」――大和が小学生の時、娼婦だった母親は飛田新地から売春島に渡った。以来、絶縁し二十年。その母が、島の裏の入り江で溺死体となって発見される。母が遺したメモには、「会わなければならない」と、四人の女の名前が書かれていた。保育所経営者、主婦、一流企業の会社員、女優。彼女たちには、島の娼婦だったという過去があり……。そのうちの一人、保育所経営者の鳥井忍に誘われ、大和は島へ向かうことにする。島が包む母の死と、女たちの秘密とは。衝撃の売春島サスペンス!

◆「売春島」とは……西日本の湾岸に浮かぶ小さな島。江戸時代から、船乗りたちが荒波が鎮まるのを待つ“風待ちの島"として知られ、彼らを相手に売春業が発展していった。
売春防止法等の施行で性産業は衰退し、数百年分の歴史は隠され、現在はリゾート観光地化が進められている。

◆解説・酒井順子氏(エッセイスト)
生物として誰もがしている/したくなることであるのに、人間が知性を持つ生物とされているが故に「していません」「興味ありません」といった顔をしていなくてはならない、セックスという行為。
セックスについて人間は、未だその正しいとり扱い方を発見しておらず、セックスにまつわる表と裏の差に生じるひずみを引き受けているのが、娼婦という存在なのです。
酒井順子(解説より一部抜粋)

◆目次
序 章 島の女
第一章 伊勢田大和(三十二歳)
第二章 鳥井忍(四十三歳)
第三章 樫谷貴子(三十八歳)
第四章 愛野麻矢(四十二歳)
第五章 桐口瞳子(三十五歳)
第六章 売春島
第七章 東京
終 章 うかれ女島
※解説 酒井順子

◆主な登場人物紹介
伊勢田大和……売春島の娼婦、女衒だった真理亜の息子。小学生の時、飛田新地で働いていた母のせいで「淫売の息子」と揶揄われ、母が島に渡ったあとは絶縁していた。
鳥井忍……風俗嬢向けの保育所経営者。自身も風俗嬢で、十年以上前に売春島でも働いていた。娘がひとり。
樫谷貴子……元風俗嬢の素性を隠し、十歳年上の中学校教師の男とお見合い結婚をした。大和からの接触を警戒する。
愛野麻矢……女優。大御所作家・村沢元康の愛人で、彼には島で売春をしていたことを明かしている。島に絡んだある事件で、村沢の世話になる。
桐口瞳子……一流企業の会社員。十年前、売春の末にラブホテルで殺された先輩社員の春日まどかのことが忘れられない。