2024/3/4 桐野夏生「日没」 (岩波現代文庫, 文芸352)

 

 

日没 (岩波現代文庫, 文芸352)

著者 : 

 

f.2024/3/4
p.2023/11/6

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小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末は――。足下に拡がるディストピアを描き日本を震撼させた衝撃作、待望の文庫化!

■️著者のことば
 この作品の主人公は、小説家のマッツ夢井です。マッツは、エッチな小説をうまく書きたいと願ったり、才能ある同業者に嫉妬したりして、猫と暮らしています。
 ところが、ある日突然、マッツはブンリンというところから召喚状をもらいます。そして、見知らぬ岬の療養所に行く羽目に。そのうち出られるだろうと高を括っているうちに、マッツは自分が幽閉されていることに気付くのです。
 何かが変だ。何かが変わってきている。
 違和感を覚えながらも日常に流されているうちに、いつの間にか、世の中の方がすっかり変わってしまっている。この小説は、そんな怖い話です。
 フィクションとして楽しんで頂けたら嬉しいですが、世界にはこんな話はいくらでも転がっています。フィクションが現実にならないことを、心から祈ります。

■推薦のことば

これはただの不条理文学ではない。文学論や作家論や大衆社会論を内包した現代のリアリズム小説である。国家が正義を振りかざして蹂躙する表現の自由。その恐ろしさに、読むことを中断するのは絶対に不可能だ。
筒井康隆

息苦しいのに、読み進めずにはいられない。桐野作品の読後には、いつも鈍い目眩が残ると知っていても――。自粛によって表現を奪い、相互監視を強める隔離施設。絶巧の文章が、作中世界と現実とを架橋する。
荻上チキ

個人的な価値観、個人的な言葉、個人的な行動をもとにして作品を創る。それは自由への具体的な希求であり表現だ。その基本がいつの間にか奪われ拘束される。『日没』は桐野夏生でさえ越えられない身のすくむ現実がすぐそこにあることを告げる。
石内 都

絶望の中でも光を探すことができる、と教わってきた。だが、この物語にそういう常識は通用しない。読みながら思う。今、この社会は、常識が壊れている。どこに向かっているのだろう。もしかして絶望だろうか
武田砂鉄

著者について
桐野夏生(きりの・なつお)
1951年生まれ。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。99年『柔らかな頬』(講談社)で直木賞、2003年『グロテスク』(文藝春秋)で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』(新潮社)で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え! 』(毎日新聞社)で婦人公論文芸賞、08年『東京島』(新潮社)で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』(KADOKAWA)で紫式部文学賞、『ナニカアル』(新潮社)で10年、11年に島清恋愛文学賞読売文学賞の二賞を受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』(講談社)で、2004年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった。2015年、紫綬褒章を受章。『ハピネス』(光文社)、『夜また夜の深い夜』(幻冬舎)、『抱く女』(新潮社)、『バラカ』(集英社)、『猿の見る夢』(講談社)、『夜の谷を行く』(文藝春秋)、『デンジャラス』(中央公論新社)、『とめどなく囁く』(幻冬舎)など著書多数。

 

2024/3/2 林真理子「秋の森の奇跡」  小学館 

 

林真理子秋の森の奇跡

林真理子秋の森の奇跡

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秋の森の奇跡

著者 : 

f.2024/3/2

恋愛小説の第一人者が世に問う真の恋愛小説
仕事にも家庭にも恵まれ、何不自由ない生活をしてきた主人公裕子に突如降りかっかってきた不幸、それは母親が認知症を患ってしまったこと。それから一気に噴出する不安と不信。介護を巡る兄弟の諍い、夫の浮気への疑念、若い部下との確執…。年齢を重ねるうちにだれしもが避けて通れないシビアな現実の数々。そこから逃れるように、裕子は妻子ある男と関係を持つ。不倫でもなく、浮気やよくある情事でもない、そんな魂が触れ合うような恋愛は存在しうるのか。大人の女性にとってセックスの絡まない恋愛は成立しうるのか。切なく、心が締め付けられるような心理描写はまさに圧巻!  恋愛小説の第一人者、林真理子が日本中の全女性たちに問いかける、魂を揺さぶる真の恋愛小説。

林 真理子
1954(昭和29)年、山梨県に生まれる。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。82年のエッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろ う」がベストセラーとなる。86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞を受賞。95年「白蓮れんれん」で第8回柴田錬三郎賞、98年「み んなの秘密」で第32回吉川英治文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 本朝金瓶梅―お伊勢篇 (ISBN-13: 978-4167476359 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

2024/2/29 外山滋比古 「自分の頭で考える」 (中公文庫 と 12-11)

 

 

自分の頭で考える (中公文庫 と 12-11)

著者 : 

f.2024/2/29
p.2013/3/15

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どうしてあの人の発想は独創的なんだろう? そう思ったことはありませんか。必要なのは、強くてしなやかな〈本物の思考力〉です。人生が豊かになるヒントが満載の爽快エッセイ。

 

外山 滋比古
1923(大正12)年愛知県生れ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学英文学科卒業後、同大学特別研修生修了。’51(昭和 26)年より、雑誌「英語青年」(現・web英語青年)編集長となる。その後、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授を務め、’89(平成元)年、同大名誉教授。専門の英文学に始まり、思考、日本語論の分野で活躍を続ける。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 日本語の作法 (ISBN-13: 978-4101328317)』が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

2024/2/28② 池澤 夏樹 編「本は、これから」

 

本は、これから (岩波新書)

制作 : 池澤 夏樹 

f.2024/2/28 (3)

f.2021/12/19(2)
f.2011/1/7
p.2010/11/22

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グーテンベルク革命から五世紀。電子の端末が膨大なコンテンツから美しい「ページ」を開くこの時代、あなたにとって「本」とはいったい何か。それはいかに変貌するのか。書店・古書店・図書館・取次・装丁・編集、そして練達の書き手・読み手の位置から、鋭いアンテナの持ち主たちが応える―本の過去と未来を俯瞰する三七のエッセイ。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池澤/夏樹
1945年北海道生まれ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

2024/2/28 読了 大江健三郎「親密な手紙」 (岩波新書 新赤版 1993)

 

親密な手紙 (岩波新書 新赤版 1993)

著者 : 

f.2024/2/28
p.2023/10/23

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「窮境を自分に乗り超えさせてくれる「親密な手紙」を、確かに書物にこそ見出して来たのだった」。渡辺一夫、サイード武満徹、オーデン、井上ひさしなどを思い出とともに語る魅力的な読書案内。自身の作品とともに日常の様々なできごとを描き、初めて大江作品に出会う人への誘いにもなっている。『図書』好評連載。

大江 健三郎
1935年愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。大学在学中の58年、「飼育」で芥川賞受賞。以降、現在まで常に現代文学をリードし続け、『万延元年のフット ボール』(谷崎潤一郎賞)、『洪水はわが魂に及び』(野間文芸賞)、『「雨の木」を聴く女たち』(読売文学賞)、『新しい人よ眼ざめよ』(大佛次郎賞)な ど数多くの賞を受賞、94年にノーベル文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「伝える言葉」プラス (ISBN-13: 978-4022616708 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

2024/2/25 読了 きたやまおさむ「「むなしさ」の味わい方」 (岩波新書 新赤版 2002)

「むなしさ」の味わい方 (岩波新書 新赤版 2002)

  • 岩波書店 (2024年1月23日発売)
  •  

    f.2024/2/25
    p.2024/2/16

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    自分の人生に意味はあるのか、自分に存在価値はあるのか…。誰にでも訪れる「むなしさ」。便利さや快適さを追求する現代では、その感覚は無駄とされてしまう。しかし、ため息をつきながらも、それを味わうことができれば、心はもっと豊かになるかもしれない。「心の空洞」の正体を探り、それとともにどう生きるかを考える。