2月15日に読了した本。
★5 年表が秀逸。懐かしさ一杯。
- 作者: 東浩紀,市川真人,大澤聡,福嶋亮大
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/11/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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引用です。
評・安藤 宏(国文学者・東京大教授)2017年12月18日 05時22分
『現代日本の批評 1975―2001』 東浩紀(監修)、市川真人、大澤聡、福嶋亮大著一九七五〜二〇〇一年の批評史を歴史的に総括する試み。基調報告、東(あずま)浩紀(ひろき)・市川真人・大澤聡・福嶋亮大(りょうた)による討論、年表(なかなか凝ったもの)からなる。批評誌「ゲンロン」の連続座談会を単行本化したもので、続編も予定されているという。
本書の基点になっているのは浅田彰、中沢新一らニューアカデミズムの登場した八〇年代半ばである。その上で、「主体」が匿名化、個別化し、大塚英志、宮台真司らが台頭していくプロセス、政治と批評とが乖離(かいり)し、誰もが共有できる「大きな物語」が解体していく状況が巧みに整理されている。ジャーナリズムとアカデミズムが綱引き合う様相から時代を見ていく発想も新鮮。柄谷(からたに)行人、蓮実重彦、加藤典洋はもちろん、江藤淳、山崎正和らの仕事についても傾聴に値する指摘が多い。
個人的には、七〇年代の空気を知る評者がかつて体験したポスト構造主義の衝撃について、多少の印象の違いを隠せなかった。おそらくそれも含め、この時代がすでに記述されるべき「歴史」になりつつある、ということなのだろう。感慨深いものがある。