2023/5/13 読了 柳美里「オンエア 上」 (講談社文庫)

オンエア 上 (講談社文庫)

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オンエア 上 (講談社文庫)

f.2023/5/13
p.2012/11/15

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プロデューサーと不倫関係を続ける藤崎あゆみ・26歳。年下の野球選手に結婚をせがまれる水沢千広・32歳。元カレのストーキングにおびえる望月結香・22歳。人気報道番組を舞台に3人の女子アナが、それぞれ予期せぬ人生の転機を迎える…。

運命に挑んだ女たちができることは、ただ濁流に呑み込まれるだけ――。
柳美里だから書けた本格「女子アナ」小説!
決定的なスキャンダルを抱えた女子アナたちが乗り込んだ運命の小舟はどこに?
『ゴールドラッシュ』から10年、『命』から8年。
柳美里初のエンターテイメント巨編。
不倫、裏切り、自殺、ライバル登場、そしてある日迎えた決定的なスキャンダル。
百名近い放送関係者への取材を通じて描ききった、フィクションでしか書けない彼女たちの真実――。

 

レビュー
『オンエア』は、取材を含めると、2年半を費やした長編です。
わたしの作品では、『命』、『8月の果て』に次いで長い小説ということになります。


20代、30代の女子アナを主人公にし、テレビ業界を舞台にしましたが、
特殊な世界を描いたわけではありません。
読んでいただければ、きっと、「自分と似ている」登場人物が見つかる、と思います。

というか、読者のみなさんに、これは「自分の物語」だ、と思ってもらえる小説を書けなくなったら、わたしは書く意味がない、書くのをやめます、筆を折る。
『オンエア』に登場する3人の女子アナは、不倫、セックススキャンダル、裏切り、という大きな危機に遭遇します。そして、敗ける。でも、挫けない。

小説は、絶望の処方箋(みたいな小説もあるんでしょうが、わたしは読みもしないし書きもしない)ではありませんが、読者のみなさんが、登場人物と共に絶望し、絶望の最中で希望を見出す過程に参加することはできます。

いま、辛いひと、いま、淋しいひと、いま、絶望しているひとと、再起への一歩を踏み出したい、と思って書いた小説です。

どうか、読んでください。

--著者からのメッセージ --


内容(「BOOK」データベースより)
運命に挑んだ女たちができることは、ただ濁流に呑み込まれるだけ―。『ゴールドラッシュ』から10年、『命』から8年。決定的なスキャンダルを抱えた女子アナたちが乗り込んだ小舟はどこへ?著者初のエンターテイメント巨編。渾身の「女子アナ」小説。

 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
柳/美里
1968年生まれ。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。93年、『魚の祭』で、岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年、「家族シネマ」で、芥川賞を受賞。99年、『ゴールドラッシュ』で、木山捷平文学賞を受賞。2001年、『命』で、第七回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞、これに続く『魂』ほか、『命』四部作は累計百万部を超えるベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。