2023/10/8 読了 増山実「ジュリーの世界」 (ポプラ文庫 ま 11-1)

ジュリーの世界 (ポプラ文庫 ま 11-1)

著者 : 
  • ポプラ社 (2023年9月5日発売)
  • ジュリーの世界 (ポプラ文庫 ま 11-1)

  • f.2023/10/8
    p.2023/9/14
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    「あいつはな、誰よりも悠然と歩くんや」時代の大きな曲がり角となった70年代の京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されてもいつも目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。ガラス玉のような目で空を見上げる彼は、いったい何者なのか。なぜこの街にやってきたのか。交番に赴任したばかりの新人巡査・木戸が最初にその名を聞いたのは、ひったくりにあったと交番に駆け込んできた女性からだった。彼女は自分のネックレスを「河原町のジュリー」がひったくっていったと言うのだが――。京都国体の開催を機に、街から「異物」が排除されようとしていく中で、彼の伝説は生きていた。かつてこの街で彼と人生を交錯させた人々は、やがてその「真相」を知る。人間の自由と尊厳を昭和の時代と令和の現代に浮かび上がらせ、人が「物語る」ことの意味を問うた感動作。

    目 次

    プロローグ
    第一話 花の首飾り
    第二話 坂の向こう
    第三話 夜の猫たち
    第四話 鳥の名前
    第五話 熱い胸さわぎ
    第六話 ジュリーと百恵
    第七話 黒と白の季節
    第八話 四十年後
    第九話 真珠貝
    第十話 再会
    エピローグ

    あとがき

    (文庫版)
    かつて京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されても悠然と目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。彼はいったい何者なのか? 新人警察官・木戸は街の人たちが噂するこの男にしだいに心惹かれていく――。
    実在した伝説のホームレスをモデルに、遷りゆく時代の影と人間の運命を描いた傑作長編。第10回京都本大賞受賞作。巻末に著者の特別エッセイ「一九七九年という時代」を収録。