202/5/9 読了 樋口毅宏「民宿雪国」 (祥伝社文庫)

民宿雪国 (祥伝社文庫)

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民宿雪国 (祥伝社文庫)

 

 

 

f.2023/5/9
p.2023/5/2

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大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれている――。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは……!? 小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。

梁石日氏絶賛!「なみなみならぬ筆力に感服した。人間の底知れぬ業を描き切る」  2012年8月、国民的画家・丹生雄武郎氏が亡くなった。享年97歳。  80年代のバブル時に突如衆目を集め、華やかな時代を背景に一躍美術界の新星として脚光を浴びる。しかし、各方面からの称賛の声をよそに、けして表舞台には出ようとせず、新潟県T町にて日本海を見下ろす寂れた「民宿雪国」を経営、亡くなるまで創作に没頭した。「芸術はなんというなれの果てまで私を連れてきたのだろう……」 大正4年生まれ、使用人との間に生まれ、病弱で不遇な少年時代を過ごし、第二次大戦ではニューギニアに応召、敗戦後はシベリアに抑留される。復員すると愛妻は疎開先で亡くなっており、彼は終生「遺された者の不幸」と「戦争で死ねなかった負い目」に苛まれたと推測される。 しかし一方で、丹生氏の過去にはいささか不明瞭な部分もあった。 かつて「民宿雪国」に宿泊、丹生氏によって人生を左右されたと明言するジャーナリスト・矢島博美氏がその死後に丹生氏の過去を掘り下げたところ、以外な事実が明るみに出たのだった。 彼はなぜその経歴を詐称したのか。 やがて彼の破天荒な生涯が、かくされた昭和史を炙り出したのだった――。 あらゆるジャンルを越境する文芸界の最終兵器・樋口毅宏が贈る、本年度最高のエンタテインメント・ピカレスク・ロマン!

出版社からのコメント
この小説から受けた衝撃を、どのように伝えればいいのだろう? とにかくいまだかつてこんな小説は、読んだことがないとしかいいようがない。 純文学? ミステリ? 歴史小説? 純愛小説? そのいずれもの要素を含みつつ、そのいずれからもはみ出してジャンル分けを拒む問題作『民宿雪国』とは?   二〇〇九年のデビュー作『さらば雑司ヶ谷』では豊島区雑司ヶ谷を舞台にノワール世界を構築し、そのショッキングな展開と描写で読者の度肝を抜きました。二〇一〇年、第二作目となる『日本のセックス』は法廷サスペンスとも官能とも取れる大胆にして緻密な構成と筆致で話題になりました。そんな中、第三弾は『民宿雪国』という、今までハードな作風で鳴らしてきた樋口さんらしくない、のどかなタイトルだと思ったのですが…。期待した展開を幾度も裏切られて、最後にとんでもないところに物語が着地するのだけれど、同時にそこには深い感動がある。物語自体の最終的なテーマ、そのある種破天荒な構成、余韻の残る不思議な読後感、そのすべてが刺激的な読書体験でした。この作品の核心となる結末部分については、ぜひ直接その衝撃を受けていただきたいと思いますので、あえてこのインタビューではそこに触れません。とにかく本当にいろんな意味で問題作だと思います。 (FeelLove vol11 樋口毅宏氏インタビューより抜粋)

 

内容(「BOOK」データベースより)
ある国民的画家の数奇な生涯を描いたエンターテインメント。期待した展開が何度も何度も裏切られ、物語のラストはとんでもないところに着地する。昭和史の裏面に挑む怒涛の長編書下ろし。

 

著者について
1971年、東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。出版社勤務を経 て、2009年『さらば雑司ヶ谷』(新潮社)で小説家デビ ュー、その衝撃的な描写と作品世界が出版界の話題に。 2010年上梓された『日本のセックス』(双葉社)では「官 能から始まり、法廷サスペンスへ」と展開するまったく新 しい物語を作り上げた。本書は第三作目となる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)